今ゴルフ場が頭を悩ましている問題の中に、メンバーの高齢化の問題がある
昭和30-40年代に開場して過去に億カンと呼ばれた名門コースのメンバーの平均年齢は、
推測であるが67才から70才の間であろう。
人は年齢だけで体力気力が決まるわけではないから、
70歳を過ぎてもゴルフをやっているような人は現役バリバリで第一線で活躍している方も多いが、
大多数の人は第2の人生に入るか、その準備をされているのではなかろうか。
それに伴いメンバーの稼働率の低下や、メンバーが此れ迄同伴してきたゲストの数も徐々に減少してきている。
どんなゴルフ場も開場して40年以上過ぎると、一年間に全部のメンバーのうち少なめにみて3%が移動するとして
10年で30%、40年なら120%でほぼ全員がチャーターメンバーから次世代のメンバーに変わっているのが普通である。
40年を過ぎてチャーターであったメンバーで現在も在籍しているのは全体の1-2割がせいぜいでなかろうか。
ゴルフ場が開場して30年を過ぎるとどんな倶楽部でもメンバーのうち3分の1が
クラブの月例競技などにも頻繁に参加するアクティブなメンバーで、
他の3分の1が一年間に何回か利用する程度のメンバー、
残りの3分の1が殆ど何年も倶楽部に来場していない年会費を払うだけのスリーピングメンバーと云う構成になっており、
30%前後のスリーピングメンバーのうちその10%から20%が物故会員である可能性が高い。
メンバーの高齢化に伴う問題の中心は、此のスリーピングメンバーの会員権が
スムーズに市場で流通していない事にあると考えられる。
理想的なメンバーの構成の有りようとしては、40代50代60代70代がほぼ等分に在籍していれば良いが、
なかなかそうなっていないのが実情である。
スリーピングメンバーをアクティブなメンバーにチェンジしていく事で倶楽部の活性化をどうして実現していくかが、
どの倶楽部も喫緊の課題であるはずだ
それでは何故此れらの会員権の流通がスムーズにいかないかと考えると、
理由は入会間接費用(名儀書換料、入会預け金)が会員権がバブル真っ盛りの最高値であった時と殆ど変わらず、
中にはもっと高額になっている事が一番の原因であろう。
又、入会条件が公正公明とは言いがたく、常識で考えて必要以上に難しいケースがある事だろう。
併せて、最近はゴルフ場の集客対策も有ってネットなどを使ってビジターでも比較的簡便に予約がとれ、
かつ料金もある程度リーズナブルになっている事などが有る。
ゴルフ場側としては、現状の会員権相場で名儀書換料などの入会間接費用の値上げは
いかにも無理がある事は十分承知しているはずで、此れからは受益者負担を錦の御旗に
会員の年会費を上げて安定収入増を図るであろうから、当面は年会費は上がっても下がる事はなかろう。
但し、会員権の売買が市場で成立しないような低額物件については年会費を上げる事は実質的には出来にくいはずだ。
勿論、メンバーになればビジターとは違う倶楽部ライフの楽しさ、利便性は金銭に代え難い価値があるが、
それもメンバーになってからの利用の仕方次第である。
又若い頃と違って、50代60代にとって普通に生活していて新しい友人を作る事はなかなか難しいが、
ゴルフを共通項として人生の得がたい仲間、友人を作る事はそんなに困難な事ではない。
従って、此れからのゴルフ場運営の理想形としては、
そのゴルフ場のロケーション、メンバーの構成、運営形態などでそれぞれ違う為同じ括りは難しいが、
メンバーシップのゴルフ場としてゲストの無理な集客や新入会者に過度な負担を強いらなくて良いようにして、
若い人達が無理なく支払える常識の範囲程度の入会間接費用(名儀書換料、入会預り金)にする事。
倶楽部の運営がメンバーの中で全て完結するようにしていく事でなかろうか。
殆どが不労所得に思える入会間接費用や、ゲスト料金の大幅なダンピングで無理な集客をあてにせず、
メンバーの「私の倶楽部」として利用してもらえるような徹底したサービスを図るべきでなかろうか。
メンバーには応分の負担もしてもらうが、
倶楽部としてのサービスもそれに見合う以上のものを提供する位の気概をゴルフ場には見せてもらいたい。
by 万治郎