過去、ゴルフ場の年間のメンバーの移動率は全体の3-4%程度であると云うのがマーケットの常識で、
10年間で30%、30年間でメンバーの殆どが入れ替わると言われてきました。
会員権を手離す理由はそれぞれですが、高齢で体力的にプレーをする事が出来なくなった
、他に資金が必要になった為換金しなければならなくなった、
今持っているコースよりグレードアップして他のコースのメンバーになる為、などでした。
最近の新しい現象として、利用していないわけでもなく急ぎの資金が必要と云う事でもないが、
とりあえず見切って売ろうとする「見切り売り」が多くなっている傾向が出てきています
メンバーになっていてもそれ程利用しているわけでもなく、当面相場の騰げも期待しがたく、
一方では年会費などのランニングコストは値上がりしてメンバーもビジターのプレー代も実際は
それ程差がなくなっている為 メンバーで有るメリットが少ないと考える方が増えています。
又、会員権を持つ利便性やステータス性も以前程ではなくなったと考えられる方が増えているようです。
利用する事の少ない会員権を無理して所有し続けるより、収入の多い現役の間に見切って
損切りを確定して税の還付を受け損失を補填しようとするケースが多くなっています。
此れは業界にとっては以前は殆どなかった会員権の処分理由で、相場が右肩上がりで
会員権の評価が高かった頃には考えられなかった状況で想定出来なかった現象です。
今迄殆どのゴルフ場のメンバー構成は、積極的に競技会にも参加して月に3~4回以上来場する
アクティブな1/3のメンバーと、年間に5~6回程度来場するようなメンバー、
その他の殆ど来場しないスリーピングもしくはそれに準ずる1/3のメンバーで運営され、
年間のメンバーとビジターの割合は3対7もしくは4対6の比率で運営されバランスが取れていたのが、
「見切り売り」が出るようになってきて此のバランスが微妙に変わってきたように感じます
根本のところにプレーヤーとゴルフ場の需給関係が崩れてゴルフ場の供給過剰の中で景気の停滞、縮小の理由で
会員権の需要が減少し、プレー料金の値下げ競争が始まってマーケットの需給関係が崩れて
相場を下げた事があるようです。
業界としては後手に回っているが、此れから改めて会員権の評価、価値を高める為の対策を
早急に実行しなければならないと言う気持ちを全体のコンセンサスとして持っているが、
具体的に何をしなければならないか、出来るかという事が見えていないのではないでしょうか。
その為に、会員権のマーケットを扱う立場からの提言をしたい
まず会員権の流通性を高める方策を講じる事。
部外者に解りにくい入会審査ではなく、透明性の有る公平な入会審査をしていかなければならない。
次に、非常識と思える高額な名義書替料や入会預託金に頼る経営を根本的に見直す必要が有る。
入会者が納得出来る金額迄思い切って下げた方が一気に流通性も高められるはずで、
それによって既存メンバーの負担が増えるのは仕方がないのではなかろうか。
年会費についても、メンバーシップのゴルフ場の運営は受益者負担が基本であるはずだから
或る程度の値上げは理解できるが、それ以前に経営の透明化や経営側の責任、メンバーの義務を確認し、
メンバーが自信をもって私は○○カントリークラブの会員ですと胸を張って言える位の
それにふさわしいサービスの提供をする事が勿論前提となる事は言う迄もない。
マーケットの怖さを奇貨と思い、日本のメンバーシップのゴルフ場の有り方が問われている現在が
本来のゴルフ場の有り方に修正していく変革のチャンスではないでしょうか
by 万治郎