東松山、東京国際、高根、日高などのゴルフ場が入会間接費用を下げたPGMグループも預託金を名儀書換料に一部充当するなどして、実質は大幅な名儀書換料の減額プランを実施している。
理由はメンバーの活性化と、名儀書換件数の増加を図る事である。スリーピングメンバーをアクティブなメンバーに入れ替え、メンバーの高齢化と稼働率の低下を防ぎ、プレー代の値下げ競争で消耗が続くビジターの集客に頼る訳にいかなくなった事が本音のとこだろう。
此れ迄のゴルフ場経営の中では名儀書換料や預り金などの入会間接費用の収入は、年間の全体の収入の2-3割を占める場合も有って、此れが無ければ赤字転落と云うゴルフ場も少なくないはずであるが、それでも下げる理由は名儀書換件数の激減とプレー代の値引き競争ではやっていけなくなりつつある事、間接費用の収入を当てにするより毎日毎月の営業収益を重視しなくてはならなくなったからに他ならない。
一時ゴルフ会員権を金融関連商品として持て囃した時期があったが、現在は会員権の相場が当時の10分の1、或は20分の1になっているにも係わらず、入会間接費用は20年前のバブル真っ盛りの時と殆ど変わっておらず、その頃よりもっと高額化しているクラブもあるなど、嫌な言い方だが取れるところから楽してとっていたのではないかと思われても仕方がないケースも有る。詰まるところはそれが今の窮状を招いた大きな原因の一つではなかろうか。
次の表は現状で500万円程度の資産や物品購入に必要な諸費用の概算である。
資産購入時にかかる諸費用概算(500万円購入時) 平成24年3月
1.不動産を購入(1月)した場合
不動産取得税 150,000
登録免許税+司法書士報酬等 150,000
仲介手数料 220,000
売買契約書印紙税 2,000
固定資産税 70,000
計 ¥ 592,000 (12%)
2.自動車(3,500cc)を購入(1月)した場合
自動車税 60,000
自動車重量税 60,000
自動車取得税 250,000
自賠責保険 35,000
車検登録手続代行等 120,000
計 ¥525,000(11%)
3.株式(上場)を購入した場合
売買手数料(みずほ証券) 40,000
計 ¥40,000(0.8%)
4.ゴルフ会員権を購入した場合
<A,B,C,D,Eのゴルフ場の平均値>
会員権価格 500万円
名義書換料 1,722,000
入会預託金 1,600,000
売買手数料 100,000
年会費 42,000
計 ¥3,464,000(70%)
(4の内訳)
A.平塚富士見・・・会員権価格 400万円
名義書換料 1,785,000
売買手数料 80,000
年会費 21,000
計 ¥1,886,000
B.本厚木・・・会員権価格 600万円
名義書換料 2,100,000
売買手数料 120,000
年会費 52,500
計 ¥2,272,500
C.横浜・・・会員権価格 400万円
名義書換料 1,575,000
預託金 8,000,000 ※但し退会時返還される
売買手数料 80,000
年会費 52,500
計 ¥9,707,500
D.袖ヶ浦・・・会員権価格 500万円
名義書換料 2,100,000
売買手数料 100,000
年会費 63,000
計 ¥2,263,000
E.茨城G・・・会員権価格 600万円
名義書換料 1,050,000
売買手数料 120,000
年会費 21,000
計 ¥1,191,000
※購入後の税金や年会費、維持管理費は省略します
此れを見てわかるように、不動産が12%自動車が11%、株式が0.8%の取得に対しての諸費用(ゴルフ会員権での入会間接費用)が必要だが、会員権の場合はこれが約70%となって、他の金融商品的なものや物品に比較しても極端に割高である。
現状で市場に流通しているゴルフ会員権の本体価格と入会間接費用のバランスは、間接費用が高過ぎて会員権を購入しようと考える希望者の妥当と思う価格から乖離し過ぎており、幾ら本体が割安で買い時だと聞かされてもそれなりに資産的な意味あいを考えると納得しがたい気持ちになるのが本音でなかろうか?
会員権を魅力の有る商品として若者が欲しいと思えるようにして、それぞれのゴルフ場の会員権相場を適正とメンバーが考えられる水準迄上げる為には、今の入会間接費用を高くとも本体価格の10~20%迄下げる事が喫緊の課題であろう。
難しいと思うが、入会間接費用について業界が再生する為には根本から考え直す時期が来ているのではなかろうか
by 万治郎