生まれたてホヤホヤの四匹の口嘴の黄色いつばめの子供達が久し振りの帰省を歓迎してくれた。
一度めの産卵で6匹が育ってその後の子供達で、妹の話しだと今回は五匹生まれて
その内一匹が虚弱体質だったようで亡くなって四匹が育ったとの事。
東京にいる時に妹から名前を付けてくれといわれ、亡くなった子には雫(しずく)ちゃん、
その後の四匹は東(トン)ちゃん、南(ナン)ちゃん、西(シャ)ちゃん、北(ペイ)ちゃんと勝手につけたが
実際には見たところ誰がどの子か全然わからず二匹並んでいると
「あ、あれは東ちゃんと北ちゃんだね」といい加減に呼んでいた。
帰った時には二度めの出産の四匹の子供達も家の近所を飛んで回れる位の飛行技術があって
それを母さんつばめが心配そうに見守っていた。
四匹の子供たちは健康優良児かと思う位丸々に太っていてそれに比べると母さんつばめは
子供達に栄養を吸い取られ寠れてその子供達より20%小さく見えました
帰った日は相変わらず夜は四匹が巣の中でお尻を外に出して眠っているようであったのが
2日めの夜には西と北の二羽だけが夜帰ってきていたが、その二羽も5日めにはいなくなった。
そして2日過ぎると母さんつばめも帰って来なくなっていました
遠い南の島から何千kmも飛んできて連れ合いを見つけて巣を作り 卵を産んで朝暗いうちから
エサ取りに一日中飛んで回って身を粉にして慈しみ育て子供達が少し飛べるようになったら
心配そうに見守っていたお母さんつばめでした
その後は人間みたいに巣立つ挨拶も別れの飲み会もやらずに子供達が勝手に飛び立っていったようです。
朝、昼、夜と見ていて親つばめの全く無償の愛を灌ぎ込む行動は、育児放棄をするような人間に比べて
何千倍も何万倍も立派に感じました
雫ちゃんが亡くなった日も一生懸命他の子供達の為エサ取りをしているのを見ていると、
此ちらの目頭が熱くなってきました
あの小さな身体で自然の節理であろうが今時の人間にはとてもない潔さと、真似の出来ない逞しさ、
深い深い愛を教えてもらいました
飛び立った前回の6匹の子供達と後の四匹の子供達が元気で旅をして又来年帰ってきてくれるように
母の墓参りの時につい一緒に祈ってしまいました
by 万治郎