古くからの女友達でC子と云う子がいます。今はネパールのカトマンズで某国大使館御用達のエステティシャンを本業にして、ヨガのライセンスも有って地元ではたまにTV出演もしたりしてそれなりの有名人で、見た目も性格もとても可愛い人です。
彼女とは、彼女が18才で美術系の女子大の一年生になった時に初めて会って、その後彼女のお父さんお母さん妹さん達ともお付き合いをするようになり、ご両親とは一緒にゴルフに行ったりしていました。お父様は子供服の会社を経営されていて静岡、千葉、茨城の3ヶ所の名門コースでクラブチャンピオンになっているゴルファーです。
C子は三番町で生まれ育ったお嬢様で、都内でも超一流の小中高校を卒業しました。いつも少し悪ぶるポーズが好きで彼氏が出来るたびに私に会わせて「今度はどお」と聞いて来ました。その頃の彼女のモテ方はすさまじく、機動隊からお医者様、ミュージシャンと此っちがびっくりする位多士済々でした
女子大を卒業した後暫く六本木の当時流行の三文字のアパレル関係に勤めてようやく落ち着いたように見えましたが、ヨガを本格的に勉強したいと云って23才の時にインドに渡りました。その後3-4年音信不通の状態になっていました。時々思い出してどうしてるかと思っていました。
その後5-6年して突然連絡が有って「此れから新宿に行くから久しぶりにお昼をごちそうして」と云う事になって伊勢丹の前で待っていると、紫のサリーを着て額に赤い丸をつけた女性が色の黒い男性と小さな男の子を連れて歩いてきました。C子でした。以前の抜けるような色白の肌が生粋の東南アジア系育ちの女性に見えました。
ネパール人のご主人もカトマンズで土産物店を経営していると云う事で、生活も安定しているとの事でほっとしました
それからもう随分経ちましたが、C子はその間も1-2年に一度息子を連れて日本に里帰りをして、その間たまに一緒に食事をしたりしてカトマンズでの話を聞かせてもらうのがとても新鮮で楽しみでした。
一人の女性が10代、20代、30代、40代と変わっていく様子がたまに会うからか余計に強く感じられました。
それでももう向こうに根っこの生えた生活の基盤が出来ているので、此っちに戻る気持ちは無いようです。生活の快適さや利便性などは日本とは正直比べ物にならない程厳しいようですが、此っちではご両親と妹さん以外は人のつながりが切れているのでC子にはカトマンズが故郷になりました。初めの頃は「何で」と思いましたが、人は育った場所を忘れる事は有りませんが毎日の生活で長い間に育んだものも絶ち難いものだと思いました。
見ていると男性より女性の方が現地の生活に溶け込み易いようです。(子供の教育と云う事も係わっているのでしょうが)私が聞いていないいろんな事情も有るようですが、此れからも逞しく生きて欲しいと思います
By 万治郎