或るゴルフ場の入会審査担当の理事から「入会し易いゴルフ場よりしにくいゴルフ場が名門倶楽部として高い評価を受けるからうちも入会審査を今以上に厳しくしてメンバーとして本当にふさわしい方だけに入会して戴く」ようするとに聞き、その後実際に入会申込者の半数近くを審査で不可にしている。
此れらのゴルフ場は東京近辺の知名度の高いゴルフ場に多いが、会員権を扱う立場からすると少し勘違いをしているのではないかと思う事も有ります
勿論「倶楽部」の名の通り同好の士が集まって楽しむ場所であるから、それぞれに私的なルールや規則は有って当然でしょうが、公開されたそれなりに厳しい入会条件をクリアしながら一人のメンバーからでも異議申し立てが有れば殆ど釈明の機会も与えられずの問答無用はどうかなと思います。又、その拒否理由は予め申込時にそうなっても異議申し立てはしないという一筆を取って有る為、申込者には納得できなくても対抗する事は殆ど不可能です。
又、審査をするフェローシップ委員の方などとの同伴プレイでもマナーやエチケットなどで過度に厳しいオーダーを出して明らかに故意で落とすような対応をされたとか、会社は立派に経営されている優良企業で有っても業種的にマイナスのイメージが有る場合など入会申し込みをしている本人には全く心当たりがない場合の入会拒否はそのクラスのクラブのメンバーになろうとする位社会的立場の有る方達ですから内心相当納得できない様子です
それでも考えて欲しい事は、入会条件を常識から考えて必要以上に厳しくしたりごく一部の会員の好き嫌いで入会の可否が決めれるのは問題が有るように思います。
一部の旧いゴルフクラブを除いて株主制や預託金制のゴルフ場は入会募集をした時に譲渡する権利をメンバーに認めているのが普通です。又、その会員権の価値も出来るだけ努力して高いものにするとメンバーに約束をしているはずです。時が経てばいろいろな状況が変化していく事は理解できますが、変わらないで良いものも有ります。
例えば入会をその時点で認められなくても不都合が有ればその部分を修正したり改善を具体的に実行すれば再度審査を受ける程度の親切さは有っても良いと思います
又、もう一つクラブを運営する側だけの思惑ではなく倶楽部のメンバーにもいろいろな事情が有る事も考えて貰いたいと思います。
月に2~3日以上来場してプレーをしているアクティブなメンバーだけではないこと、どの倶楽部も開場して40年~50年たてばメンバーの平均年齢も65才を超して67.8才が普通になり、1/3がアクティブなメンバー、1/3が年に2-3度顔を出す程度のメンバー、残り1/3が年会費を払うだけのスリーピングメンバーの構成になって年間に全体で3~5%のメンバーが退会してほぼその数の名義書換が有るようです。
1/3のコースを良く利用しているアクティブメンバー以外の2/3の方達(物故会員を含む)のうちの或る程度の方達が会員権の処分を具体的に考えている人達で、特に優良コースでご自宅からも交通の便が良好でコースの内容もサービスも優れており、ゴルフ場のメンバーとしてのステータス性も有り、そんな倶楽部であったからこそ十分資産としても考えて処分するのも最後にしたはずです。そういう想いの有るゴルフ場の評価が会員権の値段とコースの内容は違うものと一言で切り捨てられて退会していくメンバーは納得しているのでしょうか!
又、質の良いメンバーをと言うならば価格は当然コースを選ぶ場合の大きなポイントになります。メンバーの新旧の交代をスムースに行い退会されるメンバーにはその倶楽部のメンバーであったことを喜んでもらえる事も大切な事ではないでしょうか
此の仕事をやってきた経験からすると、1億で買った会員権が500万になっていても本気でクレームをつける方は皆無です。それは、判断したのは自分だと言う自己責任の意識をしっかり受け止められる自覚が有る方達であるからでしょう。ゴルフ場にも過去と現在と未来が有ります。難しい事ですが本物の名門倶楽部とはその三つを大事にするゴルフ場だと思います。入会しにくいゴルフ場が名門倶楽部の条件だとは断言出来ないはずです
by 万治郎