2025年11月06日 | 投稿者:いちおう法律家
日本のゴルフ場開発資金としてこの預託金制度が採用されています。
なぜ、ここまで広がったのか、それは銀行が融資する際のリスクヘッジにあるからなんです。
・銀行側の視点
ゴルフ場開発は巨額の資金を要し、事業リスクも高い(長期回収・景気依存)。銀行が直接融資すると、貸倒れリスクが大きくなります。
・迂回融資の仕組み
預託金制度では、法人や個人が会員として資金を提供するため、ゴルフ場は「借入」ではなく「預かり金」として資金を調達できます。
→ 銀行は直接リスクを負わず、ゴルフ場は資金を得られる。
・会員側の心理
バブル期には「会員権は資産価値が上がる」という期待があり、預託金を出すことに抵抗が少なかった。
結果として
・預託金はゴルフ場の開発資金に充てられ、銀行融資よりもリスク分散が可能。
・しかし、返還義務は残るため、ゴルフ場の経営悪化時には返還問題が顕在化。
・この構造が、後に「預託金返還トラブル」や「制度の見直し」につながりました。
次に賃貸不動産等の敷金と預託金の性質
共通点
・どちらも契約時にお金を預ける仕組み。
・将来的に返還されることを前提としている。
違い
1.目的
敷金:賃貸物件の家賃滞納や原状回復費用の担保。
→ 退去時に未払い分や修繕費を差し引いて返還。
預託金:サービスや施設利用権を得るための資金(ゴルフ場、老人ホームなど)。
→ 利用期間終了後に全額返還が原則。
2.法的性質
敷金は「担保的性質」が強く、民法で位置づけられています。
預託金は「預かり金」であり、契約条件に基づく返還義務がありますが、担保とは異なります。
3.返還リスク
敷金は通常、返還される(差し引き後)。
預託金は事業者の経営状況次第で返還不能になるリスクがある。
大まかな解説のため端折っている部分もありますが、少しでも参考になれば。。。