2月に入って、親しい知り合いがお二人続いて亡くなりました。田舎の実家のお隣のおばあちゃんと、友人のお母さんでした。
おばあちゃんは73才でした。私の父が仲人をしてお嫁にいらした時からの知り合いで、幾つになっても可愛い人でした。
いつもニコニコして、私の妹や亡くなった母とも仲良しで、妹が風邪をひいたりすると身内同様に心配して面倒をみてくれていました。
今年のお正月に帰省した折にも、散歩をしていて珍しく話す事が有って、私が「ようこさんは幸せだねぇ。子供や孫達がいつもそばにいて賑やかで」と言うと、「自分も此迄の人生で今が一番幸せだと思っている」と言われました。
その時にも、妹から聞いている私の持病の事を心配してくれて「大丈夫?大事にせんとあかんよ」と言われて、ご本人がほんの1ヶ月余りで亡くなりました。
5年前に亡くなった私の母もようこさんが大好きで、二人で良く畑で野菜作りの話をしていました。おばあちゃんを見ていると、都会には無い濃密な人の掛り合い繋がりを羨ましいと思う事も有りました。
冷蔵庫の中のビールの数もソースも先刻承知の仲ですから、親、同様かそれ以上の付き合いでした。
お葬式の時に、ようこさんの息子のお嫁さんが「母はやり抜いた」と言われていました。
家業を守り、その大黒柱になって子供達を立派に育てられ、御天道様に恥じる事は何一つなかった方です。
人にはそれぞれの生き方が有っても「やり抜いた」と言って貰える方はそんなに多くないように思います。
ようこさんの生きてきた来し方は、地位や名誉や経済力ではなくても、人生の王道だと思います。
友人のお母さんは60代に入ったばかりで、病院に入院していたのは1年程でしたが、私が見舞いに伺うといつも逆に土産をいっぱい持って帰る事になりました。
私が友人に困ると言うと、友人は「母は人に喜んで貰うのが好きなんだから、母が喜ぶようにしてやってくれ」と笑われました。
あの優しいお母さんが亡くなられたというのは感慨無量です。
By 万次郎