預託金の抽選償還について、これに不同意の会員が償還を求めた裁判で、最近会員敗訴の判決が下されました。
正直この判決には疑問を感じています。ゴルフ場(以下会社)の言い分は「償還をすれば資金が枯渇して営業を続けられなくなる、そうなれば多くの会員に迷惑をかけることになる。よってできる範囲で償還請求には応じる」ということのようです。今回の裁判では、裁判所もこの言い分を認めたと考えられます。時代が変わって経済状況が変われば判決も変わってくるということのようですが、少し違うと思います。
本来、ゴルフ会員権の預託金制を採用しているゴルフ場の場合、会員から預託金を預かってその期限を当初に決め、5年とか10年経過して期限が満了してゴルフ会員権を持つ会員からの返還請求があれば速やかに返還することが契約の基本になっているはずです。少なくとも20年前に会員募集をしたゴルフ場で償還を抽選で行うと会則に記載してあった会社はなかったはずです。また、これまでの同様の裁判での判例では、会員と会社の契約は個々に行われているもので、預託金の返還を理事会で延長したり当初の契約内容について著しい変更は認められないとの判決がほとんどで、これは償還についての業界の共通した常識でした。
それが経済状況の変化や償還方法の変更、例えば会社の言い分で「100人の償還請求があって現状では101番目の返還になるが、今の状況では順調にいって10年後から分割で5年ほどかけて払う」などという普通ではあり得ない条件を提示して、結局は市場での売却をせざるを得ないような対応をさせているケースもあります。
もちろん、そういう中でも頑張って償還請求があれば直ちに対応して返還をしている会社もありますが、残念ですがそのような会社の数はわずかです。償還の請求に約束通り対応するのは難しいことは理解できますが、それだと言って裁判所が時代に流されるような判決を下して会員が納得できるでしょうか。
会社に対して会員が償還請求をした際に、会社は会員に対して「抽選の申し込みをするように」という対応が当然であるかのように堂々と答え、またその年度に会社の利益がなければ抽選もやらないなどというゴルフ場があるのはとても納得できるものではありません。
ゴルフ会員権の信頼度を高めるためには会社と会員がお互いに契約と義務を守ることが基本で、それができなければ違約した側がそれなりのペナルティを払い制裁を受けることが厳しくても必要だと思っています。
By 万次郎