名義書換料や入会預託金の減額を期間を限って実施するゴルフ場がいくつもあります。
現在営業しているゴルフ場が全国で約2,400箇所ほどあって、このうちバブル(懐かしい言葉です)の後、2度の法的整理を申請したケースを除くとほぼ890のゴルフ場が民事再生法などの法的整理をしており、ゴルフ場全体の35%強の数になっています。
ゴルフ業界への逆風はすでに20年以上続いており、バブル期からその後にかけてゴルフ会員権を高額募集をしたゴルフ場のほとんどが償還問題を抱えています。この償還問題の処理には通常の営業努力の範疇を超えて法的整理に頼らざるを得ず、大幅な債務カットで辛うじて営業を続けているのが実態です。
言葉は悪いですが、自助努力より法律に頼ることが常識になっておりましたが、それも業界全体として、一旦の整理がついたのではないかというのが実感です。
ただし、このような問題の処理の仕方は、メンバーにとっては到底納得できない対応で、ゴルフ会員権への信用度は著しく低下しました。
会員権の値段が一流名門コースで過去の高値の1/10が当たり前で、中には1/100まで下げても買いがつかないケースもあるのは、以前であればとても信じられないことです。
会員権の金融商品的な流れから、実需市場としての今
それでも会員権は株価との連動で動く商品と考えられた時期もあって、金融商品的な含みで先物を買おうとする積極的な資金の流れもありましたが、現在はほぼ完全に実需市場です。もちろん、値段が下げて良くないことばかりではなくメリットもあるのは事実ですが、それでも商品が妥当と考えられる価格から極端に下げ過ぎることはデメリットの方がメンバーにとってもゴルフ場にとっても多いようです。
正直言ってしまえば、会員権相場の低迷理由は、
- ゴルフ場の数とゴルファーの数のバランスが狂っていることで供給過剰であること。
- 会員権の本体価格に比べて名義書換料や入会預託金などの間接費用が異常に高いこと。
(一部のコースでこれを期間限定などで下げるケースもあるが)バブル期の最高値で据え置いているコースがほとんどです。 - 入会条件が不透明なケースがあり、特に高額コースでその傾向が強い。
これらの三つが相場低迷の大きな理由です。
その中でも、2の入会間接費の高止まりは確実に流通を阻害しており、ゴルフ場側でもそのことは十分わかっているはずです。とりあえず期間限定などでお茶を濁しているように感じます。取りやすいところから取るという安易な営業は後で跳ね返りがあることがほとんどです。期間限定を何度も繰り返しても効果は一時的で会員権の信用度を低下させる一因となることもあります。
真剣に間接経費の高まりを是正して、流通を活発にすれば会員権の評価を上げ、良質なアクティブメンバーが増え、コースの活性化がが実施されるはずです。
by 万次郎